お客様の実例-公正証書遺言
まず、クライアントからいただきました原稿を紹介させていただきます。
私たちのプロフィール
40代と50代のゲイカップル。東京都在住。20年にわたって同居。
一昨年、共同名義でマンションを購入。持ち分は50:50。
公正証書遺言を作成した理由
一番大きな理由は、2人の共同名義でマンションを購入、所有していることです。
どちらかが亡くなった場合、遺言がなければ、その所有権は、
親族の相続権利者の手に渡ってしまいます。
このマンションは、2人の終の棲家として購入したものです。
ですから、どちらかの親族の相続権利者からマンションを売却して売却代金の半分を渡せと言われても困ります。
そこで、マンションを共同購入した時点で自筆遺言書を作成し、どちらが亡くなっても、残された方がこのマンションに住み続けられるようにしていました。
自筆遺言書も所定の形式を守って作成しましたので、法的には有効だと思いますが、
専門家にチェックしてもらったわけではないので、100%そうとは言い切れません。
また、実際にどちらかが亡くなった後で、親族との間で遺言書の有効性を巡り争いが起こったり、
遺言の執行までにいろいろと時間や手間がかかり面倒になる可能性もあります。
そこで、多少費用がかかっても、
2人にとっての大切な生活の基盤であるマンションを護るために、
公正証書遺言を作成したいと思っていました
(費用は、2人で近場の海外に旅行に出かける程度ですので、生活の基盤を護るためのコストとしては、決して高いものではないと考えました)。
といっても、自分たちがゲイのカップルであるということを明らかにした上で、
遺言書作成の相談に乗ってくれる法律関係の専門家の人が周囲に見当たらず、
遺言の公正証書化はなかなか具体化しませんでした。
公正証書遺言を作成して
そんなとき出会ったのが城本さんのウェブサイトです。
相談すると公正証書遺言の作成の仕方を、原案の作成も含め丁寧に教えてくれて、
2005年12月に、地元の公証人役場で手続きを終えることができました。
城本さんには、遺言の執行人にもなっていただきましたが、
我々の関係をよく知っている方に執行人になってもらったことで、
何かが起きても、この人に相談すれば力になってくれるという安心感が得られました。
知り合いの高齢のゲイカップルが、遺言書を作成していなかったために、
長年助け合いながら生活を共にしてきたパートナーに財産を残せず、
亡くなるまで付き合いがほとんどなかったような親族が財産を相続してしまう・・・
そんな事例を目にして、口惜しいというか、割り切れない思いをした経験が我々にはあります。
今回、公正証書遺言の作成を決心した背景には、そんなこともあります。
パートナーに財産を残す方法としては、養子縁組という選択肢もありました。
手続きとしては、遺言書よりも養子縁組のほうが簡単ですし、
カバーする権利の範囲もはるかに広いそうです。
けれども現状では、互いに仕事をしているため、養子縁組をして、
健康保険証やパスポートの名字が変わるのはちょっと困ります。
ですから、今回は遺言書で、互いの相続権を護るということにしましたが、
将来、仕事を辞めるなど事情が変われば、便宜的に養子縁組をするかもしれません。
なお、今回、公証人役場ということころに初めて足を踏み入れましたが、
特に敷居が高いところではなく、公証人も、ビジネスライクに必要最低限のことを聞き、過不足のない遺言を作成してくれました。
2人の関係など、プライベートなことは一切聞かれません(聞かれても、答える必要がないと思うので、答えませんが)。
法的権利を保障してくれるこういう制度とか、機関とかを、
もっと気軽に利用すべきだなぁ、と思いました。
そこで、次のステップとして、我々は、
どちらかがたとえば認知症などになって、判断能力を喪失してしまったような場合に備えて、
互いに「任意後見契約」を結ぶ手続きも進めています。
これも城本さんにお願いして原案を作成してもらい、公証役場で正式な契約書を作成する予定です。
今回、城本さんを通して初めて行政書士の仕事の一端を知ることができました。
熊本と東京と離れてはいますが、必要な事務的なやりとりはメールと郵便で十分できました。
ただ遺言執行者になっていただく上で、互いにうまがあうということが大切だと思ったため、
我々がたまたま九州旅行を計画していたため、その際に現地でお会いし、
いろいろお話させていただいた上で、お願いすることにしました。
城本さんは我々よりも年齢は大分若いですが、とてもしっかりしていて堅実、また、気さくで話しやすい人です。
遺言執行者の彼女とは、我々のどちらかの人生が終わるまでの長い付き合いになりますので、
今後も親交を深めていきたいなぁ、と思っています。
九州にまたひとり友だちができた感じで、それも、我々にとっては、とてもうれしいことです。
以下、私のさせていただいた過程をご紹介いたします。
このサイトを運営し始めて、
セクシャルマイノリティの方から初めて依頼を受けたのが、遺言でした。
ゲイのカップルお二人からの依頼で、
将来万一の事があった時に、パートナーに全てのものを贈りたいというものです。
今の日本では、まだパートナーシップに関する保障は何もありません。
ですから、どれだけ長い時間共に過ごしていたとしても万一の時は、
法定相続人、もしかすると全く知らない親戚等に財産が渡るという事になるのです。
お二人から相談を受け、
何度もメールで相談をし合いながら自筆遺言より公正証書遺言の方が公的であるという事で、
そちらを選択する事になり、同時に正式なご依頼を頂きました。
11月下旬にたまたまお二人が九州にいらっしゃいましたので、
直接熊本でお会いし、打ち合わせをする事も出来ました。
初めてお会いしましたが、とても素敵な方々でした。
更にお二人から、証人立会いと遺言執行者の指定もして頂きました。
ここで簡単に公正証書遺言作成までの流れを説明しますと
この日に作成日を決めます。
公証人の読み聞かせの後それぞれが署名押印します。
そして手数料を支払い、
遺言公正証書正本1通謄本1通を受け取り終了です。
さて、いよいよ原案が仕上がり、ご本人様お二人で最寄の公証役場へ事前打ち合わせに行っていただきました。
作成日が決定し、当日私は証人として立ち会う為、熊本を出発し東京へ向かいました。
証人は少々の制限はありますが、成人であれば大抵の方はなることができが、今回はお二人のご好意で証人立会いさせて頂きました。 公証人は証人がわざわざ熊本から来るのかと驚かれていたようですが(笑)
10年振りの東京に戸惑いながら、待ち合わせ場所に辿り着き、お二人ともう一名の証人の方と合流し、4人でいざ公証役場へ。
通常は、遺言書により譲り受ける方は行きませんので3人で行くところですが、今回は、お二人一緒ですので4人です。
公証役場では、公証人と私達4人の総勢5人でテーブルを囲み、お二人分の遺言書作成をしました。
公証人にとっても、珍しい光景だったかもしれませんね。
作業は30分程で終了し、正本謄本を受け取り無事終了いたしました。
今回私は初めて遺言執行者の指定を受けましたので、謄本を預かることになり、受け取った時は緊張しました。
本来であれば、私が正本をお預かりする方がいざという時の手続きがスムーズにいくということでしたが(公証人の方から聞きました。笑)今回の場合、お二人がそれぞれパートナーの正本を預かるということにしました。
その後は、またまたお二人のご好意に甘えて、観光に食事に飲みにまで連れていっていただきました♪
新宿2丁目もちょっとだけ体験してきました(^^)
後日、一緒に写った写真も送っていただき、アルバムに楽しい思い出が一つ増えました。
今回私は、原案作成から証人立会い、遺言執行者の指定と、
トータル的にご依頼いただたわけですが、それは本当にありがたい事でした。
報酬が高くなるとかそういう問題ではなく、少しでも信頼頂けたのかなという思いからです。
ご自身のセクシャリティに関して悩みを持っていらっしゃる方はたくさんいらっしゃるでしょう。
みなそれぞれに真剣に将来を考えていると思います。
しかし、行動すること、形を残すことはまだしづらいのかもしれません。
それは遺言に限らずです。
まだ今は、相談するところも少ないかもしれません。しかし、将来窓口は増えるはずです。
安心して相談できるところが増えるよう、私も更に頑張って参りたいと思います。
最後に、上記記事の投稿についてお二人は「自分達が行動してそれを伝えることで、少しでも同じ悩みを持っている方達の為になれば嬉しい」と快く了承して頂きました。
ありがとうございました。
今後、お二人とは遺言執行までの永いお付き合いをさせて頂きます。
城本亜弥
行政書士法人 Withness ウィズネス